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【早期償還は良か悪か?】ファンドの運用期間と資金拘束期間について考えること

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当サイトのクラファン評価では,サービスごとのサイトの機能,手数料等の情報に加えて,実質利回りに影響する運用前後で発生する資金拘束期間が短いことを重視しています。今回は,この資金拘束期間が与える影響から,早期償還の良し悪し,これを踏まえた自身の投資方針について考えていきたいと思います。

1.資金拘束期間の影響

 まず【早期償還は悪か良か?】にも関わる,資金拘束期間の実質年利回りに対する影響を具体的に考えてみます。

資金拘束期間の定義

 ここであたらめてここでの資金拘束期間の定義*ですが,申し込み時は「①資金の入金~運用開始期間」,運用終了後は「②運用終了~出金」の運用益が発生しない期間のことです。それぞれの期間はサービスやそこで提供されるファンドによってことなり,①は数日~2か月程度,②も数日~2か月程度と,①②併せて,トータルの資金拘束期間最短1週程度~4カ月程度に収まります。(*株式などの換金可能な流動性の高い資産と対比して,運用期間中の換金ができないクラファン投資を「資金が拘束される」と表現する場合もありますが,今回の記事ではその定義ではありません)

資金拘束期間の影響の実例

 下図では,資金拘束期間1~3カ月として場合に,よくみかける「ファンドの想定利回り5~15%」,「運用期間1~24カ月」のそれぞれの組み合わせで「実質年利回り」がどのようになるか計算したものです。

資金拘束期間と実質利回り

この表でいくつか典型的なファンドのパターンを見ていきます。

①利回り6% 運用期間12カ月の中期ファンド

 2025年現在,一番一般的なタイプのファンドだと思います。この場合,資金拘束期間が1ヶ月の場合,実質利回りは5.5%(-0.5%)に落ちますが,資金拘束期間が3ヶ月の場合,4.8%(-1.2%)まで落ち込みます。

 

②利回り5% 運用期間3カ月の短期ファンド

 短期ファンドの例です。この場合,資金拘束期間が1ヶ月の場合,実質利回りは3.8%(-1.2%)に落ちますが,資金拘束期間が3ヶ月の場合,2.5%(-2.5%)と半分にまで落ち込みます。

 

③利回り8% 運用期間12カ月の高利回りファンド

 良くある高利回りファンドの例です。この場合,資金拘束期間が3ヶ月の場合,6.4%(-1.6%)と普通よりやや良い程度の実質利回りとなってしまいます。資金拘束期間が長い業者にも関わらず高利回りだけに釣られている方は注意しましょう。

 

 

色々書きましたがポイントは,運用期間が短いほど,資金拘束期間による実質利回り低下の影響が大きくなることが分かります。

 ただ,投資家側では,その影響を事前に分かった上でそれぞれの価値観でクラファンサービスやファンドを選択すれば良い訳です。

 しかし,投資家側でコントロールできず資金拘束期間の影響を受けるのが早期償還の場合です。

早期償還とは

 直前で述べたように,運用期間が短いほど,資金拘束期間による実質利回り低下の影響が大きくなりますので,早期償還により運用期間が短くあることで実質利回りは確実に低下します。

 それでは早期償還になると同時にアップサイド配当となった場合はどうでしょうか?

営業者としては,利回り、運用期間で発生する利払いにプラスして,当然のように営業者利益を見込んでファンドを組成しています。

早期償還は,「当初想定した運用期間より短い期間で運用を終了するということですから,少なくとも見込んでいた以上が利益が得られている」ことになります。当初見込んだ以上の利益をかつ短期間で得ているので,その時点で営業者サイドがまず想定以上のアップサイド利益を得ていることになります。投資家目線では,資金調達に協力した投資家にもその利益を還元,つまりアップサイド配当は当然して欲しいところです。

資金拘束期間が早期償還時の実質利回りに与える影響

 実際,ときどき(よく),運用期間が1年から1~3カ月に早期償還されて「想定利回り5%がアップサイド配当で利回りが15%になりました!」など見ますが,この程度だと運用期間の短縮分(1/4以下)に比べてアップサイドの増加割合(3倍)がケチっていることになります(営業者は短期感で想定以上に儲けたはずなのに,投資家に十分には還元できていない)。

資金拘束期間が3カ月の場合の実質利回り

さらに,資金拘束期間が3カ月だとすると,実質の運用期間が3カ月以下だった場合は実質利回りは半分以下の3.8~7.5%まで落ち込むことになる訳です(上表)。念のため注意ですが,これは運用期間が短くなって利益が減っただけではなく,年利に換算してもこの程度の利回り(%)にしかならないということです(想定利回り5%が15%になったように見せても実質の利回りは年平均も3.8%と想定利回りの5%以下になる場合すらあるということ)。

 おそらく営業者は自分たちが受け取る運用益を直ぐに投資に充ててるでしょうから,投資家にとってかなり不公平な状況と言えるでしょう。

2.早期償還は悪か良か?

 それでは資金拘束期間の影響がある程度定量的に分かったところで,早期償還の是非について考えてみたいと思います。ここでそのメリット、デメリットについて整理します。

メリット

・償還遅延・元本棄損のリスクがゼロではない中,償還された安心感が早期に得られる

・アップサイド配当が受けられる場合がある

デメリット

・当該ファンドに投資時点で期待していた利益が得られない

運用期間が短くなることで資金拘束期間による実質利回り低下が大きくなる

・償還金を使った新たなファンドの投資計画を考えたり,資金を移動する手間,新たな資金拘束期間による発生による利回り低下

 

 こうやって見てみると,「早期償還のメリットはあまり大きくない」ということが分かります。

 また早期償還になると,償還金を使った再投資のために次のファンドを探す必要があります。次のファンド探すまでに,早期償還になったファンドの運用終了後の②運用終了~出金期間(これはカウント済ですが),さらに①資金の入金~運用開始期間が発生してしまいます。本来であればこれらの期間は全て運用益が発生していたはずなのに,それがなくなる上に「再投資の手間」が増えるのは大きなマイナスだと考えています。

アップサイド配当が発生してなんとか納得といったところです。

*このような状況に対応してか,最近は事業者側のさじ加減で利回りが決まるアップサイド配当から進化して,『全期間配当保証(当初見込んでいた利益を保証)』を導入するサービス(『らくたま』など)も出て来ています。これがあれば,むしろ早期償還を期待する状況になりますね。

3.私の投資方針

 以上の資金拘束期間,早期償還に対する考えを踏まえた,運用期間に関するクラファン投資の方針は以下です。ちなみに,ここまで出してきた数字は客観的な事実であり,そこから投資の方針を立てるかは人それぞれなので,あくまで私個人の投資の方針です。

資金拘束期間の長いサービスは長期のファンドを選択

 これはそのままですが,資金拘束期間を長めに設定しているサービス・業者では,それにより実質利回りが低下し易いので,そういったサービス・業者を利用する場合,なるべく資金拘束期間の影響を薄めるために長期のファンドを選択します。逆に言うと,資金拘束の短いサービスについては,安全を考えて運用期間が短いもの選択可としています。ただし,運用期間が短いものはファンド選び,資金移動の手間や手数料がかかるので,それらデメリットを考慮した運用期間としています。

 具体的には運用期間1年弱~18か月くらいをメインのターゲットとしています。運用期間が2年以上とかになると,営業者の経営や利回り水準の変化のリスクがあるのでサービスやファンドによりますがやや消極的です。運用期間6か月以下の短期ファンドは,資金拘束期間の短いサービスでない限り殆ど投資対象としていません

 実際のところ,1~3カ月のファンドを募集しているサービスの殆どが有限の資金拘束期間を持っているので,上記デメリットを考慮して私は殆ど申し込みません。またそもそも資金拘束期間の長いサービスはデメリットしかなので,なるべく避けるようにしています。

抽選方式のファンドは資金を用意しない

 改めに資金拘束期間の定義ですが,申し込み時は,①資金の入金~運用開始期間,運用終了後は②運用終了~出金,となります。しかし,見過ごされがちな期間が,目当てのファンドの投資用資金を確保して自身の口座においておく期間も資金が拘束されることになり,お金が働いていない期間となってしまいます。つまり,「⓪投資資金を確保した時点~運用資金を入金するまでの期間」を短くすることが,実質利回りを高めることになります。

 そこで私は,ファンドの償還や本業でまとまった投資用資金を確保できることが分かったタイミングで,投資先のファンドを利回りや資金拘束期間など総合的に判断して毛決定して,投資資金が手元に移ったら即入金できるようにスケジューリングします。

 その際,先着募集の場合は,先入金でも後入金でも,投資資金確保の目途をつけた上でファンドの申し込みできれば,後は資金拘束期間(資金の入金~運用開始期間)はサービス,ファンドのよりそれぞれですが,基本的には計画通りに運用まで進めることができます。

一方,抽選募集の場合は落選するリスクがあるので,その場合はまた投資資金手元にある段階で(既に計画立てるには遅い),また投資計画を立てなければなりません。すると,ますます資金拘束期間が伸びたり,あるいはそのとき投資できる適当なファンドに投資するということになりかねません。

 そこで私は抽選募集の際は,投資資金を準備しないことにしています。とりあえず応募だけしておいて,先着募集で予定通りにはファンドに申し込みできなかった,あるいは予定外の早期償還があって新規が手元に残っていれば投資するようにしています。

4.まとめ

 今回は,資金拘束期間に着目して早期償還の是非について考えてみました。また,その考えに基づいての,私自身の投資の方針,早期償還の捉え方について述べさせていただきました。投資スタイルは人それぞれですが,なるべく効率の良い投資を目指すのは共通の目的だと思うので,参考になれば幸いです。

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